蚕が人を救う?! 血小板を生産するシルク製骨髄

人の血液は体重の8%程度を占めています。そのうち約半分は水で、残りは赤血球や血小板などの細胞成分です。細胞成分のうち血小板は、血管が傷ついたときに粘着質に変わり止血する働きを持ちます。この記事は、血小板を科学的に生産するというお話です。

血小板は主に骨髄で作られていますが、なんらかの理由で減少すると、貧血や腎臓障害、皮下出血や血便などさまざまな不調を引き起こします。

血小板の機能不全にはドナーによる輸血に頼っているのが現実です。そのために免疫反応による合併症が起きやすく、免疫抑制剤や脾臓の摘出手術が必要になる場合さえあります。それだけのことをしても、血小板が増えるとは限らないというのが現状です。

アメリカのタフツ大学とイタリアのバビア大学の共同研究チームが、骨髄とそっくり同じ環境を対外で作り出すことに再現することに成功したと発表しました。

それは、シルクとコラーゲンに細胞接着分子を合わせて微細管を作り、その周辺を多孔質のシルクのスポンジで覆って骨髄に似た構造を作り出しました。

そこに患者の体内で培養した血小板の元になる細胞を移植したところ、実際の骨髄と同じような機能することが確認されたのです。

鍵を握るのはシルク

シルクは構造上、さまざまな硬さや形状に変えることが可能であり、血小板の生成・分泌に適しています。また、血小板の凝集反応も起こさず正常な血液を保管しておいて、必要なときに使用することができるという利点があります。

この研究はまだ実験段階であり、人間の骨髄に比べるとまだ血小板の生成力は弱いようです。しかしこれから研究が進むと近い将来には実用化できる可能性のある方法でもあります。もとが自分の血液ですから、免疫反応も起こりにくくドナーを探す必要もなくなります。

将来は、血小板だけでなく潰瘍や歯科治療の分野でも、シルクを使った治療されるようになるかもしれません。

シルクは、もともと人の皮膚を覆うという人類最初の「人工臓器(衣服)」のひとつでもあります。それが人の身体の中にまで使えるというのは、まさに神の配剤ですね。口周りムダ毛は綺麗にしましょう